社会保険手続き「社保スポ」
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会社経営において、従業員の健康管理は非常に重要です。万が一、従業員が業務に起因する病気になった場合、企業側には安全配慮義務違反が問われる可能性があります。
今回は、企業に課されている健康診断の実施義務と、それに関連する労務管理上のポイントについて分かりやすく解説します。
労働安全衛生法では、企業に対して「従業員に健康診断を受けさせること」が義務付けられています。実施しなかった場合、企業には50万円以下の罰金が科されることもあるため、注意が必要です。
また、健康診断には、次の種類があります。
● 一般健康診断(定期健康診断)
常時雇用する労働者(正社員・契約社員など)に対し、年に1回の定期健康診断を実施する必要があります。内容は、身長・体重・血圧・視力・聴力・血液検査・胸部レントゲン・尿検査など。
● 雇入時健康診断
新しく労働者を雇った場合、その雇入れ時点での健康状態を確認するための健康診断も義務です。これは、雇入れ日から3カ月以内を目安として、遅滞なく実施する必要があります。
● 特殊健康診断
有害業務(騒音、高温、有機溶剤など)に従事する労働者には、別途「特殊健康診断」を行う必要があります。業務内容により年2回の頻度が求められる場合もあります。
健康診断を実施しただけでは不十分です。診断結果の保管や労働者への通知も義務です。
●健康診断結果は5年間の保存義務
●労働者には結果の通知を文書で行う
●医師の意見聴取が必要な場合、就業上の措置(勤務軽減・配置転換など)を検討
また、診断結果をもとに産業医や社労士と連携し、就業環境の改善や個別対応を行うことで、労務リスクを未然に防ぐことができます。
会社には「受診させる義務」がありますが、受診するのは本人の義務ではないという点に注意が必要です。
しかし、受診を拒否する社員に対しては、会社として受診を促すための措置や説明責任を果たすことが求められます。
例えば、
●書面で受診の案内を出す
●受診しないことによるデメリット(配置転換できない等)を説明する
●産業医との面談を設定する
●就業規則に罰則規定を設ける
といった対応が考えられます。
健康診断の実施は、単なる「年に1回のイベント」ではなく、労務管理・安全配慮義務の根幹です。社労士は以下のような点で企業をサポートできます。
●健康診断スケジュールの管理
●受診漏れチェックと対応
●結果に基づいた就業措置の助言
●衛生委員会の設置や産業医との連携支援
●安全衛生に関する規程整備
など
特に、社員数が増えてきた企業や、人事・労務を1人で兼任している総務担当者にとっては、専門家のアドバイスがリスク回避に直結します。
健康診断は、企業にとって「義務」であると同時に、従業員の健康と安全を守る「責任」でもあります。適切な対応を怠ると、行政指導や労使トラブルにつながるおそれもあります。
今後、従業員の健康に関する法令や働き方改革の流れがさらに強まっていく中で、社労士と連携しながら実施体制を整備することが企業の信頼にもつながります。
健康診断の運用や体制づくりについてお悩みの企業さまは、ぜひお気軽にご相談ください。
社会保険労務士 髙田 登史子

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