社会保険手続き「社保スポ」
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社会保険手続き「社保スポ」
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個人で事業を営んでいると、従業員を雇ったときに必ず直面するのが「労働保険や社会保険に加入する必要があるのか?」という問題です。
保険制度は複数あり、それぞれ加入要件や手続きが異なるため、正確に理解しておくことが重要です。今回は、個人事業主の事業所が対象となる労働保険と社会保険について、わかりやすく整理して解説します。
まず「労働保険」は、労災保険と雇用保険を総称したものです。これは労働者を雇用するすべての事業に適用されます。法人か個人事業主かを問わず、従業員を一人でも雇った時点で原則加入しなければなりません。
●労災保険
労災保険は、従業員が仕事中や通勤中にケガや病気、障害を負った場合に給付を行う制度です。
・加入要件:従業員を1人でも雇ったら強制適用
・保険料の負担:全額事業主が負担
※注意点:労災保険は「労働者を守るための制度」であり、事業主本人や家族従業員(事業主と同居する親族)は原則対象外です。(一部例外あり)
●雇用保険
雇用保険は、労働者が失業したときの生活保障や再就職支援のための制度です。
・加入要件:31日以上の雇用見込みがあること
1週間の所定労働時間が20時間以上あること
この2つを満たす労働者を雇用した場合、事業所は雇用保険の適用事業所となります。
・保険料の負担:事業主と労働者で折半
※注意点:パート・アルバイトでも上記要件を満たせば加入対象になります。
「短時間だから必要ない」と誤解しないよう注意が必要です。
一方の「社会保険」は、健康保険と厚生年金保険を指します。こちらは労働保険と異なり、加入要件が事業所の規模や業種によって変わります。
●強制加入となるケース
法人事業所(従業員数に関係なく強制加入)
常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(農林漁業や一部サービス業を除く)
たとえば、個人事業として小売業や製造業を営み、従業員が5人以上場合、社会保険の強制加入対象となります。
●任意加入できるケース
従業員が4人以下の事業所や、強制適用対象外の業種でも、希望すれば「任意適用事業所」として社会保険に加入することが可能です。その場合は、従業員の過半数の同意を得て、年金事務所に申請を行う必要があります。
・保険料の負担:健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主と従業員で折半
保険料の負担は大きいですが、従業員にとっては医療保障や将来の年金額の増加につながる大きなメリットがあります。
1. 必要な書類が多いため、それぞれ記載誤りのないように気を付ける
労災保険の成立届や雇用保険の資格取得届、健康保険・厚生年金保険の資格取得届など、複数書類の提出が必要となり、それぞれの窓口(労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所)への提出が必要です。個人事業主にとっては負担が大きく、専門家に依頼することでスムーズに進められることが多いです。
2. 一度加入すると継続義務がある
特に社会保険の任意適用は、一度承認されると簡単に社会保険を抜けることはできません。事業規模や資金繰りに与える影響も踏まえて慎重に判断しましょう。
個人事業主の事業所が加入すべき保険は、大きく分けて労働保険と社会保険があります。
それぞれ手続きの期限や方法が異なるため、正確な判断が求められます。従業員を守り、安心して働ける環境を整えることは、事業の成長にもつながります。
「加入が必要なのか不安」「手続きが煩雑でよく分からない」という場合は、ぜひ社会保険労務士にご相談ください。事業所の状況に応じて、最適な対応をご案内いたします。
社会保険労務士 髙田 登史子

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