雇用保険における「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いと影響

従業員が退職する際、雇用保険の手続きで必ず問題になるのが「自己都合退職」と「会社都合退職」の区分です。

この区分は、単なる手続き上の違いではなく、失業給付の支給開始時期や給付日数に大きく影響します。

また、退職理由の判断を誤ると、後からトラブルになるケースも少なくありません。

本記事では、経営者の方に向けて、自己都合退職と会社都合退職の違い、会社への影響、注意点を分かりやすく解説します。


① 自己都合退職とは

自己都合退職とは、従業員の意思によって退職するケースを指します。
例えば、以下のような理由です。

✓転職
✓家庭の事情
✓体調不良(会社の責任ではない場合)
✓結婚や引っ越し
✓キャリアチェンジ

この場合、雇用保険では原則として自己都合退職扱いになります。

💡自己都合退職の特徴

自己都合退職の場合、失業給付の支給開始までに給付制限期間が発生します。
一般的には次のような流れになります。

①ハローワークで求職申込み
②7日間の待期期間
③約2か月の給付制限
④失業給付の支給開始

つまり、退職してからすぐに失業給付が支給されるわけではないという点が大きな特徴です。


②会社都合退職とは

会社都合退職とは、会社側の事情によって退職するケースです。
例えば、以下のようなケースが該当します。

✓解雇
✓倒産
✓事業縮小による人員整理
✓希望退職の募集
✓賃金の大幅な未払い
✓労働条件の著しい悪化

この場合、従業員は「特定受給資格者」として扱われることがあります。

💡会社都合退職の特徴

会社都合退職の場合、自己都合退職と比べて失業給付の条件が有利になります。
主な違いは以下の通りです。

・給付制限がない(待期期間後すぐ支給)
・給付日数が多くなる場合がある

つまり、従業員にとっては会社都合退職の方がメリットが大きいため、退職理由をめぐってトラブルになることもあります


③退職理由は会社だけで決められるものではない

実務でよくある誤解として、「退職理由は会社が決めればよい」と思われているケースがあります。
しかし、実際にはハローワークが客観的な事実をもとに最終判断を行います。

例えば次のようなケースです。

・退職勧奨を受けて退職した
・残業が極端に多かった
・賃金が大幅に下がった
・パワハラなどの問題があった

このような事情がある場合、会社が「自己都合退職」としていても、会社都合と判断される可能性があります

そのため、退職時には

✓退職理由の整理
✓合意書の作成
✓退職手続きの適切な処理

などが重要になります。


④ 会社側が注意すべきポイント

退職手続きでは、会社側にも注意すべき点があります。

特に多いのが、退職理由をめぐるトラブルです。

例えば、

・会社都合を避けるため自己都合にするよう求めた
・退職勧奨なのに自己都合として処理した
・従業員の説明と会社の説明が食い違った

といったケースでは、ハローワークから会社に確認が入ることもあります。

また、状況によっては

・労務トラブル
・未払い賃金の問題
・解雇無効の主張

などに発展する可能性もあります。

そのため、退職時には

✓退職理由の整理
✓書面の作成
✓雇用保険の手続き

を適切に行うことが重要です。


まとめ

自己都合退職と会社都合退職は、雇用保険の手続きにおいて非常に重要なポイントです。

主な違いは次のとおりです。

📌自己都合退職:給付制限があり、給付開始が遅くなる
📌会社都合退職:給付制限がなく、比較的早く給付が開始される
📌退職理由は会社だけで決めるものではなく、ハローワークが判断する
📌判断を誤ると労務トラブルにつながる可能性がある

退職手続きは一見シンプルに見えますが、退職理由の整理や雇用保険の取扱いには専門的な判断が必要になることも少なくありません。

社労士事務所では、雇用保険の手続きだけでなく、
退職時のトラブルを防ぐためのアドバイスや書類作成のサポートも行っています。

「このケースは自己都合になるのか?」
「会社都合になる可能性はあるのか?」

など、ご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
適切な手続きを行うことで、会社と従業員双方にとって円滑な退職につながります。

社会保険労務士 髙田 登史子

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