離職票トラブルを防ぐために会社が注意すべきこと

従業員が退職した際に必要となる書類の一つが「離職票」です。
離職票は、退職した従業員が雇用保険の失業給付(基本手当)を受ける際に必要となる重要な書類です。

しかし、離職票をめぐって会社と元従業員との間でトラブルになるケースは少なくありません。
例えば、「離職理由が違う」「離職票がなかなか届かない」といった問題です。

離職票に関する対応を誤ると、従業員との関係悪化だけでなく、ハローワークからの指導につながることもあります。
ここでは、離職票トラブルを防ぐために企業が注意すべきポイントを分かりやすく解説します。


① 離職票とは何かを正しく理解する

離職票とは、雇用保険に加入していた従業員が退職した際に発行される書類で、失業給付の申請に必要なものです。

具体的には次の書類があります。

・離職票-1
・離職票-2

これらは、会社がハローワークに提出する 「雇用保険被保険者離職証明書」 をもとに発行されます。

そして重要なのは、

離職票は退職した従業員が失業給付を受けるために必要となる公的書類であるという点です。

そのため、企業の判断だけで発行を拒否することはできません。
退職者が離職票の発行を希望した場合、企業は手続きを行う必要があります。

また、雇用保険に加入していた従業員が退職した場合には、速やかに離職手続きを進めることが重要です。


②離職理由の記載は慎重に行う

離職票トラブルの中でも特に多いのが「離職理由」をめぐる問題です。

離職理由は、失業給付の開始時期や給付日数に影響するため、退職者にとって非常に重要なポイントになります。

例えば、次のような違いがあります。

・会社都合退職
・自己都合退職
・契約期間満了

この区分によって、失業給付の待期期間や給付日数が変わる場合があります。

そのため、

会社の一方的な判断で離職理由を決めてしまうと、後からトラブルになる可能性があります

例えば、会社側が「自己都合退職」と記載した場合でも、退職者が「実質的には会社都合だ」と主張するケースもあります。

このような場合、ハローワークが事実関係を確認し、最終的な判断を行うことになります。

トラブルを防ぐためには、退職時に離職理由について本人としっかり確認しておくことが重要です。


③離職票の発行を遅らせない

離職票トラブルのもう一つの原因が「発行の遅れ」です。

退職者の中には、退職後すぐに失業給付の手続きを行いたい方も多くいます。
しかし、会社側の手続きが遅れると、失業給付の申請ができない状態が続いてしまいます。

そのため、

離職票の手続きは退職後できるだけ速やかに行うことが重要です

一般的な流れは次のとおりです。

1 退職
2 会社がハローワークへ離職証明書を提出
3 ハローワークが離職票を発行
4 会社から退職者へ送付

企業としては、退職後すぐに雇用保険の離職手続きを行うことで、トラブルを防ぐことができます。

特に退職者から発行依頼があった場合には、迅速な対応が求められます。


④正確な賃金情報を記載する

離職票には、退職前の賃金情報を記載する欄があります。
この賃金情報は、失業給付額の計算に使用される重要なデータです。

具体的には、退職前6か月の賃金額を記載する必要があります。

ここで注意すべきポイントは、

離職票の賃金欄には、実際に支払った賃金を正確に記載する必要があるという点です。

例えば、次のようなケースには注意が必要です。

✓残業代の計上漏れ
✓手当の記載漏れ
✓賃金計算の誤り

こうしたミスがあると、退職者から指摘を受ける可能性があります。
また、ハローワークから修正を求められることもあります。

そのため、給与台帳などを確認しながら、正確な内容で作成することが重要です。


まとめ

離職票は、退職者の生活にも関わる重要な書類であり、企業としても慎重な対応が求められます。
離職票トラブルを防ぐためのポイントは次のとおりです。

📌離職票は失業給付の申請に必要な公的書類であり、発行を拒否することはできない
📌離職理由は会社の一方的な判断ではなく、事実関係をもとに慎重に判断する
📌離職票の手続きは退職後できるだけ速やかに行うことが重要
📌賃金情報は給与台帳などを確認し、正確に記載する必要がある

離職票の作成や離職理由の判断は、企業にとって判断が難しいケースも少なくありません。
トラブルを未然に防ぐためにも、手続きの流れや記載内容を正しく理解しておくことが大切です。

社会保険労務士 髙田 登史子

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