算定基礎届で賞与はどう扱う?年4回以上支給される場合の注意点

「賞与は算定基礎届には含めない」と考えている方も多いのではないでしょうか。

確かに、通常の賞与は毎月の給与とは別に扱われ、支給時には「賞与支払届」を提出して社会保険料を計算します。

しかし、賞与が年4回以上支給される場合は、通常の賞与とは取り扱いが異なります。

年4回以上支給される賞与等は「標準報酬月額」の対象となるため、算定基礎届を作成する際にも注意が必要です。今回は、実務上間違えやすい「年4回以上支給される賞与」の取り扱いについて解説します。


年4回以上支給される賞与は「報酬」になる

社会保険では、賞与が年3回以下で支給される場合、原則として「標準賞与額」の対象となります。

一方、年4回以上支給される賞与は、標準報酬月額の対象となる「報酬」として扱われます。

ここが非常に重要なポイントです。

例えば、会社の給与規程で「6月・9月・12月・3月」の年4回、賞与を支給することが定められている場合、その賞与は原則として標準報酬月額の対象となります。

そのため、年4回以上の賞与については、通常の賞与のように支給のたびに標準賞与額を計算するのではなく、年間の支給額を月平均にして、毎月の報酬に加えて考えることになります。日本年金機構も、年4回以上支給される賞与については標準報酬月額の対象となるとしています。


算定基礎届では「前年7月~6月」の賞与を確認する

では、実際に算定基礎届ではどのように計算するのでしょうか。

ポイントは、算定基礎届の対象となる4月・5月・6月だけを見て判断するわけではないということです。

年4回以上支給される賞与については、原則として「前年7月から当年6月まで」の1年間に支給された賞与の合計額を確認します。

例えば、前年7月から当年6月までに賞与が合計120万円支給されていた場合、

1,200,000円 ÷ 12か月 = 100,000円

となります。

この10万円を各月の報酬に加算して、算定基礎届の報酬月額を計算します。日本年金機構の令和8年度のガイドブックでも、前年7月から当年6月までに4回以上支給された賞与について、合計額を12か月で割った額を各月の報酬に加える取り扱いが示されています。

したがって、4月・5月・6月に実際に賞与が支給されていなかったとしても、前年7月から当年6月までの1年間で年4回以上の賞与が支給されていれば、算定基礎届の計算に影響する可能性があります。


「賞与支払届」は原則として提出しない

もう一つ、実務上注意したいのが「賞与支払届」との関係です。

通常、年3回以下の賞与を支給した場合には、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を提出し、標準賞与額に基づいて社会保険料を計算します。

しかし、年4回以上支給される賞与については、標準報酬月額の対象となるため、通常の賞与支払届による標準賞与額の対象にはなりません。

つまり、

「年3回以下の賞与」→ 標準賞与額として扱う
「年4回以上の賞与」→ 標準報酬月額の対象として扱う

という整理になります。

ただし、単純に「賞与という名前なら年4回以上」「手当という名前なら給与」というように名称だけで判断することはできません。実際の支給の性質や給与規程などを確認して判断する必要があります。


まとめ

算定基礎届では、年4回以上支給される賞与は、通常の賞与とは異なり「標準報酬月額の対象」となる点に注意が必要です。

前年7月から当年6月までの1年間に支給された賞与の合計額を12か月で割り、その金額を各月の報酬に加えて算定基礎届を作成します。

特に注意したいのは、会社の給与規程を変更して賞与の支給回数が年3回から年4回以上になったケースや、これまで把握していなかった定期的な手当が実質的に賞与として扱われるケースです。

この取り扱いを誤ると、標準報酬月額や社会保険料の計算に影響する可能性があります。

算定基礎届を正確に作成するためには、賞与の支給回数だけでなく、給与規程や支給実態まで確認することが重要です。

「この賞与は算定基礎届に含めるのか分からない」「賞与支払届が必要なのか判断できない」といった場合は、社会保険労務士などの専門家に確認することをおすすめします。

社会保険労務士 髙田 登史子

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