退職後に雇用保険の加入漏れが発覚!遡って手続きできる?会社が確認すべきポイントを解説

「退職した従業員について、雇用保険の加入手続きができていなかったことが分かった」
「退職後に本人から『雇用保険に入っていなかった』と言われた」

このようなケースは、決して珍しいものではありません。

雇用保険の資格取得届は、原則として被保険者となった日の属する月の翌月10日までに提出する必要があります。しかし、手続きが漏れていた場合でも、一定の条件のもとで過去に遡って加入手続きを行うことができます。厚生労働省も、手続き漏れについて遡及して資格取得の確認を行うことを案内しています。

今回は、退職後に雇用保険の加入漏れが発覚した場合に、会社が確認しておきたいポイントを解説します。


退職後でも雇用保険を遡って加入できる?

結論からいうと、退職後であっても、雇用保険の資格取得手続きを遡って行うことは可能です。

例えば、令和6年4月に入社した従業員について、会社が雇用保険の資格取得手続きをしていないまま令和8年8月に退職したとします。

退職後に加入漏れが発覚した場合でも、「すでに退職しているから手続きできない」ということにはなりません。

本来、雇用保険の被保険者となる条件を満たしていたのであれば、在職中の資格取得について遡って確認を行い、その後、退職日までの期間について資格喪失の手続きを行うことになります。

なお、雇用保険の資格取得届は、原則として被保険者となった日の属する月の翌月10日までに提出するものです。期限を過ぎた場合には、賃金台帳や出勤簿、雇用契約書など、実際に雇用されていたことを確認できる資料の提出を求められることがあります。


原則は「2年間」まで遡って手続き

雇用保険の手続き漏れについて、特に注意したいのが「2年間」という期間です。

原則として、被保険者であったことの確認が行われた日から2年前まで遡って資格取得の確認が行われます。

例えば、本来は令和5年4月1日に入社して雇用保険の加入対象となっていたものの、会社が手続きをしていなかったとします。そして、令和8年4月1日に加入漏れが発覚した場合、原則として令和6年4月1日までしか遡れない、という考え方になります。

ただし、ここには重要な例外があります。

「2年を超えて遡れない」とは限りません。

会社が雇用保険料を給与から天引きしていたことが、給与明細や賃金台帳などによって確認できる場合には、2年を超えて遡及適用できる場合があります。

そのため、長期間にわたって加入手続きが漏れていたケースでは、「2年を超えているから無理」と自己判断せず、ハローワークへ確認することが重要です。


退職後の手続きで会社が準備しておきたい資料

退職後に加入漏れが判明した場合、会社側では「本当にその従業員が雇用保険の加入対象だったのか」「いつから加入対象だったのか」を確認する必要があります。

そのため、次のような資料を準備しておくとスムーズです。

・雇用契約書、労働条件通知書
・賃金台帳
・出勤簿、タイムカード
・労働者名簿
・給与明細
・社会保険の資格取得関係書類
・退職日を確認できる資料

厚生労働省も、雇用保険の資格取得手続きにあたって、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、雇用契約書などの資料を確認書類として挙げています。

特に「いつから雇用保険の加入条件を満たしていたのか」を確認できる資料が重要です。

また、退職後に離職票が必要になるケースでは、資格取得だけでなく資格喪失や離職証明書の手続きも関係してきます。

単純に「資格取得届を出せば終わり」というわけではないため、退職日や実際の勤務状況、給与の支払い状況などを整理したうえで手続きを進めることが大切です。


まとめ:退職後に加入漏れが分かったら、早めに確認を

退職後に雇用保険の加入漏れが発覚した場合でも、退職したことだけを理由に遡及手続きができなくなるわけではありません。

原則として2年間まで遡って資格取得の確認が行われますが、雇用保険料を給与から天引きしていたことが給与明細や賃金台帳などで確認できる場合には、2年を超えて遡及できる可能性もあります。

一方で、実際の手続きでは、雇用期間や勤務実態、給与の支払い状況などを確認し、ハローワークに必要な資料を提出する必要があります。

特に、退職後に本人から「失業給付を受けたいが雇用保険に加入されていない」と相談を受けたようなケースでは、対応が遅れることで本人の給付にも影響する可能性があります。

そのため、加入漏れが判明した場合には、「退職済みだから仕方がない」と放置せず、できるだけ早く事実関係を整理して手続きを進めることをおすすめします。

雇用保険の加入漏れは、資格取得だけでなく、退職時の離職票や本人の失業給付にも関係する場合があります。過去の資料を確認しながらの対応が必要になるため、自社だけで判断することが難しい場合には、社会保険労務士へご相談ください。

社会保険労務士 髙田 登史子

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